百武彗星


1996年3月26日
01時13分〜 露出4分
キャノンA−1 35mm F2.0(絞り3.3)
コニカGX3200

北斗七星を二分するようにして長く伸びた尾はまさに大迫力。
そしてその美しさは忘れることができません。

それまで私は「長く尾を伸ばした彗星は日没後の西の空、夜明け前の東の空に見えるもの」と言うイメージを持っていました。ところが百武彗星は深夜に天頂付近を北から南の方へと尾を延ばしていました。
明るく輝く彗星の核は少し時間をおいて見ると他の星々の間を移動しているのが分かりました。
百武彗星が地球のすぐ近くを通り過ぎてゆくことが実感できました。
もう少し軌道がずれて地球に衝突したらと考えると恐ろしい空想になってしまいますが、美しい姿に感激し、宇宙の神秘を改めて感じたことは一生忘れないと思います。



百武彗星は鹿児島県に住む百武裕司さんによって1996年1月30日に発見されました。3月下旬になると急速に明るさを増し、最大光度が−1.2等級で見かけの長さが90度を越える尾が観測された大彗星になりました。
1910年に出現したハレー彗星以来最も長い尾を持った彗星だそうです。
初めはこれほど長い尾が出現するとは誰も予測していなかったようですが、3月22日頃に核の小規模な分裂現象が起き、急に尾が長くなったと推測されています。それが地球に最も近づく時期と一致したのが幸いしたようです。